ゼロから始める行政書士学習録|第4回:意思表示の原則と錯誤・虚偽表示・心裡留保を事例で徹底理解!

こんにちは。
「ゼロから始める行政書士学習録」第4回です。
今回は「意思表示」を中心に、錯誤(さくご)・通謀虚偽表示・心裡留保という3つの「表示のズレ=意思表示の瑕疵(かし)」について学びました。
いずれも行政書士試験で頻出の項目で、事例で整理しておかないと混乱しやすい内容です。
意思表示とは?
法律行為(契約など)を成立させるには「意思表示」が必要です。
つまり、「こうしたい」という内心の意思を、言葉や行動にして外に出すことです。
■ 意思表示の3要素
要素 | 内容 |
---|---|
内心的効果意思 | 本当にその結果を望んでいる気持ち |
表意意思 | その行為をしたいという気持ち |
表示行為 | 実際に行った発言や契約書など |
この3つがそろえば、有効な意思表示とみなされます。
意思表示にまつわる3大トラブル(瑕疵)
1. 心裡留保(しんりりゅうほ)
本当はそんな気ないけど、冗談や社交辞令で契約っぽいことを言ったケース。
事例:
営業職のAさんが、同僚のBさんに対して
「今のマンション、1000万円で売ってあげようかw」と冗談交じりに言った。
→ Bさんは本気にして「じゃあ買う!」と即答し、契約書を作成してしまった。
解説:
- Aは売る気がなかった(内心の意思が欠けている)
- でもBは信じた(相手に落ち度がない)
この場合、契約は有効です(民法93条)。
ただし、Bも冗談だとわかっていたなら、契約は無効になります(表意者と相手の認識が一致していた場合)。
2. 通謀虚偽表示(つうぼうきょぎひょうじ)
双方が「これはウソの契約だよね」と了解のうえで形式だけ契約したケース。
事例:
CさんとDさんが、不動産の名義を仮に移すだけのために、「売買契約書」を取り交わした。
→ 実際はお金のやり取りもなし。ただの形式。
解説:
このように、当事者同士が嘘の契約だと知っていて演じている場合、その契約は無効です(民法94条)。
ただし!
その不動産を第三者Eが善意(=事情を知らない)で購入した場合、CさんとDさんは「無効です」とは言えません。
→ 善意の第三者には無効を主張できない=第三者保護
3. 錯誤(さくご)
一方的に本人が勘違いしてしまったケース。
事例1:本質的な錯誤(契約の目的物を勘違い)
Fさんはネットオークションで「高級ブランドバッグのA社製」と信じて20万円で購入。
→ 実は模倣品(C社製)だった!
→ これは契約の重要な内容(品質)に関する錯誤であり、契約は無効 or 取り消せる可能性があります。
事例2:価格の錯誤
Gさんがフリマアプリで、1万円で売るつもりの商品を「1000円」と入力して出品してしまった。
→ すぐに誰かに購入されてしまった。
→ これは「表示の錯誤」とされ、重大な過失がなければ取り消し可能です。
錯誤の成立要件(民法95条)
- 重要な要素に関する錯誤であること
- 表示行為に錯誤がある(例:誤記)
- 重大な過失がないこと(あまりに不注意ならダメ)
比較表で総まとめ
項目 | 内容 | 原則 | 例外 | 第三者保護 |
---|---|---|---|---|
心裡留保 | 本心と違う意思を表示(冗談など) | 有効 | 相手も冗談と知っていたら無効 | 第三者保護あり |
通謀虚偽表示 | 両者が合意したウソの契約 | 無効 | 善意の第三者には主張不可 | 第三者保護あり |
錯誤 | 本人の勘違い | 無効・取消し | 重大な過失があればNG | 第三者保護なし |
今日の学習時間と使用教材
- 学習時間:2時間10分(例を描き出して整理)
- 使用教材:
・うかる! 行政書士 総合テキスト 2025年度版
・国家試験受験のためのよくわかる民法
学習の感想
今回は「表示のズレ」がテーマでしたが、ズレ方によって法律上の扱いがまったく変わるのが印象的でした。
特に「錯誤」は試験でも狙われやすく、判断に迷いやすい論点なので、今後も事例を交えて何度も復習していきたいと思います。
次回予告
第5回は「代理と無権代理」について。
代理人が勝手に契約したら?本人の承諾は必要?――など、現実のビジネスにも直結するテーマです。





