ゼロから始める行政書士学習録|第5回:代理と無権代理の違いを事例でマスター!

こんにちは。
「ゼロから始める行政書士学習録」第5回です。
今回は、契約などの法律行為を他人が代わりに行う制度、「代理」について学びました。
行政書士試験では、特に**「無権代理」と「表見代理」**の違いが頻出です。今回は、日常的な事例を交えてしっかり整理していきます。
1. 代理制度とは?
代理とは、「本人の代わりに、第三者と法律行為(契約など)をすること」です。
【登場人物】
- 本人:契約の当事者になる人(Aさん)
- 代理人:本人の代わりに行為する人(Bさん)
- 相手方:代理人と契約する第三者(Cさん)
2. 有効な代理の要件(民法99条~)
要件 | 内容 |
---|---|
① 顕名 | 本人の名前を出して行為すること(「私はAさんの代理で…」) |
② 権限 | 本人からの授権(委任など)を受けていること |
③ 法律行為であること | 売買契約・貸借契約などの法律効果を生む行為であること |
✅ 事例1:有効な代理
Aさんが不動産を売りたいと思い、Bさんに「私の代理で売ってきて」と委任状を渡した。
→ BさんはCさんと契約を交わし、「私はAの代理です」と明示して売却。
この場合:
- 顕名あり
- 授権あり
- 契約(法律行為)
→ 有効な代理行為として、本人Aに効果が帰属します。
3. 無権代理とは?
無権代理とは、「権限がないのに代理人として振る舞った」ケースです。
本人からの許可や授権を受けていないのに、勝手に「代理人」を名乗って契約するような状況です。
✅ 事例2:無権代理
BさんがAさんに無断で、「Aの代理人としてこの不動産を売ります」と言って、Cさんと契約した。
→ Bには代理権がない(無権代理)ので、この契約は原則として無効です。
ではどうなるのか?
- 本人Aが「よし、それでいいよ」と追認したら→ 有効
- 本人Aが「そんな契約知らない」と拒絶したら→ 無効のまま
- Cさん(相手方)は、**取消しまたは催告(追認するかどうか)」を請求できます(民法114~115条)
4. 表見代理とは?
見た目では代理権があるように見えるけど、実際はなかった…そんな場合でも、相手方の保護のために契約が有効になることがあります。
✅ 事例3:表見代理
A社の元社員Bが、退職後も会社の名刺を使い「私はA社の営業です」とC社と契約した。
→ A社はその名刺を回収していなかった。C社は正規の契約だと思った。
→ 見た目上、正当な代理人に見えたBによる契約を、A社は否定できない。
→ これが**表見代理(民法109~110条)**です。
5. 代理制度まとめ表
区分 | 内容 | 効果 | 例 |
---|---|---|---|
有効な代理 | 本人からの授権あり | 本人に効果が帰属 | 正式な委任 |
無権代理 | 授権なし、勝手に代理行為 | 原則無効(追認で有効に) | 勝手に不動産売買 |
表見代理 | 外見上は代理人に見える | 相手方が善意なら有効 | 名刺を使った元社員の契約 |
今日の学習時間と使用教材
- 学習時間:1時間50分
- 使用教材:
・うかる! 行政書士 総合テキスト 2025年度版
・国家試験受験のためのよくわかる民法
学習の感想
「代理」という言葉は日常でもよく使われますが、法律的にみると非常に細かなルールと例外がありました。
特に「無権代理」と「表見代理」は試験でも定番のひっかけポイントなので、実例で覚えて、違いを明確にすることが重要だと感じました。
次回予告
第6回は「時効制度とその中断・完成猶予」について学びます。
10年?20年?途中で時効が止まる?民法らしいややこしさを一緒に解きほぐしていきましょう。





