ゼロから始める行政書士学習録|第8回:条件・期限・法律行為の分類を体系的に理解する
ゼロから始める行政書士学習録|第8回:条件・期限・法律行為の分類を体系的に理解する

ハク
こんにちは。この記事では、行政書士試験対策として民法総則の中でも誤解されやすく、出題率も高い「条件」「期限」そして「法律行為の分類」について、体系的に整理して学びます。実際の試験では、このあたりのテーマは“差がつくポイント”です。今回は読み応えのある分量で、図解・比較・事例を中心に深く掘り下げていきます。
Contents
第1章:法律行為の分類とは?
■ 法律行為ってそもそも何?
民法における法律行為とは、意思表示によって法律効果が発生する行為を指します。たとえば契約や遺言などがその代表例です。
■ 法律行為の分類3つ
分類軸 | 種類 | 例 |
---|---|---|
効力発生の時期 | 条件付き・期限付き | 贈与に条件をつける、契約発効日を定めるなど |
当事者数 | 単独行為・契約 | 遺言は単独、売買は契約 |
内容の目的 | 財産法上・身分法上 | 売買・贈与 vs 婚姻・認知 |
第2章:条件とは何か?
■ 条件の定義(民法127条)
“法律行為の効力の発生又は消滅を、将来の不確実な事実にかからせること”
つまり、「ある事が起きたら効力が発生」「起きたら効力が消える」といった形で、将来の不確実な出来事が契約の有効性に関わる仕組みです。
■ 停止条件と解除条件
分類 | 効力の動き | 例 |
---|---|---|
停止条件 | 条件が成就するまで効力が発生しない | “合格したら10万円をあげる” |
解除条件 | 条件が成就すると効力が消滅する | “契約解除の通知があったら効力が終了する” |
✅ 具体例:
- Aさんが「司法試験に合格したら車をプレゼントする」と言った。
→ 司法試験合格=停止条件。合格までは贈与は未成立。 - Bさんが「契約解除の申し出があれば契約終了とする」と合意した。
→ 契約解除の申出=解除条件。申し出があるまでは契約は継続。
第3章:期限とは何か?
■ 期限の定義(民法136条)
“法律行為の効力の発生または消滅を、将来確実に到来することがわかっている時点にかからせること”
ここが条件との大きな違いです。
- 条件:起こるかどうかわからない(不確実)
- 期限:必ず起こる(確実)
■ 始期と終期
種類 | 意味 | 例 |
---|---|---|
始期 | 効力が発生する時点 | “4月1日から契約が有効” |
終期 | 効力が消滅する時点 | “2025年12月31日で契約終了” |
✅ 具体例:
- Cさんの賃貸契約が「2024年4月1日から有効」と明記されている → 始期付き法律行為
- Dさんとの土地賃貸契約が「2030年3月末で終了」と明記されている → 終期付き法律行為
第4章:条件と期限の違いを図で整理
項目 | 条件 | 期限 |
---|---|---|
確実性 | 不確実(起こらないかも) | 確実(必ず起きる) |
効力の動き | 発生または消滅 | 発生または消滅 |
用語 | 停止条件・解除条件 | 始期・終期 |
民法条文 | 第127条〜 | 第136条〜 |
第5章:法律行為の分類を試験でどう問われるか
▶ よくある出題パターン
- 「次のうち、条件付き法律行為に当たるものはどれか」
- 「次の契約書の条項は、期限付きか?条件付きか?」
- 「将来の出来事が不確実かつ効力の発生に関係するものを選べ」
▶ 回答のポイント
- 「もし〜したら」「〜したときに限り」 → 条件
- 「〜から」「〜まで」 → 期限
- 条件と期限の混在に注意(例:合格後1年以内に開始 → 条件+期限)
第6章:法律行為の有効性と条件・期限の関係
条件や期限があるからといって、法律行為が無効になるわけではありません。
ただし、以下の場合には注意が必要です:
状況 | 効果 |
---|---|
条件が成就しないまま契約期間を過ぎた | 無効に終わる(未成立) |
条件成就のために相手を妨害した | 民法130条により成就とみなす |
停止条件付き契約で、当事者が死亡 | 権利義務は相続人に承継される |
第7章:今日のまとめと学習時間
✅ 本日のポイント整理
- 条件:将来の不確実な事実に法律効果を結びつける
- 期限:将来の確実な時期に法律効果を結びつける
- 条件は「停止条件」「解除条件」、期限は「始期」「終期」で分類
- 条件と期限の使い分けで、契約の有効性・発効日・終了時期をコントロールできる
✅ 学習時間と使用教材
- 学習時間:2時間10分
- 使用教材:
- 『うかる!行政書士 総合テキスト 2025年度版』(https://amzn.to/4kY6sEr)
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第8章:次回予告
第9回は「意思表示の撤回・取消し・取消不能な場合の整理」を予定しています。誤認や詐欺・強迫によりなされた契約がどこまで取り消せるか――試験でも実務でも重要な論点を扱います。


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