ゼロから始める行政書士学習録|第10回:表見代理・復代理・権限逸脱をまとめて整理!
ゼロから始める行政書士学習録|第10回:表見代理・復代理・権限逸脱をまとめて整理!

ハク
こんにちは。この記事では、「代理制度」の応用編として、民法における重要テーマである「表見代理」「復代理」「権限逸脱」について整理していきます。第5回で基本を押さえた方にとって、今回はまさに“合格レベル”に進むための理解強化回です。
Contents
第1章:表見代理(民法109〜110条)
■ 表見代理とは?
- 一見すると代理権があるように見えて、実は権限がなかった代理行為。
- しかし、相手方が善意・無過失であれば、本人はその効果を受ける(=有効になる)。
✅ 要件(民法109条・110条)
- 代理権がない or 権限を超えている
- 本人がそれを信じさせる外観を与えた
- 相手方が善意かつ無過失である
✅ 具体例:
A社の元社員Bが退職後も名刺を使い続け、「A社の代理人です」としてC社と契約。 → A社が名刺を回収していなかった → 表見代理成立:A社に契約効果が帰属
第2章:復代理(民法104〜106条)
■ 復代理とは?
代理人がさらに代理人(=復代理人)を立てること。
✅ 区別すべき2つのタイプ
種類 | 内容 | 効果 |
---|---|---|
本人の許諾による復代理 | 本人の指示または承諾あり | 本人に効果帰属(原則) |
やむを得ない事情による復代理 | 急病・不在などで代行必要 | 本人に効果帰属(例外) |
✅ 注意点:
- 復代理人の行為の効果は本人に帰属
- ただし、選任・監督に過失があれば代理人にも責任(105条)
✅ 具体例:
弁護士Aがクライアントからの依頼を受け、予定が重なったため、信頼する弁護士Bに委任。Bがミスを犯した。 → Aが適切に選任・監督していれば、クライアントはBに直接請求すべき(本人への帰属)
第3章:権限の範囲と逸脱(民法110条・112条)
■ 権限逸脱とは?
与えられた代理権の範囲を超えて行為した場合の扱い。
✅ ポイント:
- 相手方が善意・無過失なら表見代理が成立する(110条)
- 相手方が代理権の範囲外だと知っていれば、契約は無権代理として原則無効
✅ 具体例:
店舗運営の代理人に仕入れ権限だけ与えたが、勝手にリース契約を結んだ。 → 相手が権限超過を知っていれば → 無効 → 相手が信じていれば → 表見代理成立で有効
第4章:試験対策としての理解
■ 表見代理と無権代理の違い
項目 | 無権代理 | 表見代理 |
権限の有無 | 完全に無権限 | 外観上は権限ありそう |
相手方の保護 | 追認が必要 | 善意・無過失で保護 |
効果 | 原則無効 | 有効(本人に効果帰属) |
■ 出題の狙われ方
- 「AがBに代理権を与えたと言われているが…」→ 表見代理か無権代理か?
- 「Cが元社員の名刺で契約を締結」→ 善意の第三者の保護判断
第5章:今日の学習時間と教材
- 学習時間:2時間30分
- 使用教材:
- 『うかる!行政書士 総合テキスト 2025年度版』(https://amzn.to/4kY6sEr)
- 『国家試験受験のためのよくわかる民法』(https://amzn.to/3ZYyY0F)
第6章:次回予告
次回(第11回)は、意思無能力者による意思表示の効果や、法律行為の無効・取り消しの法理の再整理を行います。判例に基づく実戦的な理解を深めていきましょう。


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