ゼロから始める行政書士学習録|第11回:無効・取消し・意思無能力を整理して覚える!
ゼロから始める行政書士学習録|第11回:無効・取消し・意思無能力を整理して覚える!

ハク
こんにちは。今回は、民法の基本原則に立ち返りながら、「無効」と「取消し」の違い、そして「意思無能力者」による法律行為の効果について学んでいきます。
この分野は、一見すると簡単そうでいて、実は他の分野と混乱しやすいポイントが多く、条文知識と事例理解を併せて押さえる必要がある重要テーマです。ぜひ、実例とともに体系的に整理してみましょう。
第1章:意思能力とは何か?
■ 意思能力の定義
「自己の行為の結果を弁識するに足りるだけの精神能力」(判例・通説)
つまり、自分のしている行為の意味や結果を理解できる力です。法定年齢はなく、個別に判断されます。
✅ 該当するケース
- 幼児が自動販売機でジュースを買う → 通常は意思能力あり
- 重度の認知症患者が不動産売却 → 意思能力なしの可能性が高い
■ 意思能力がない者の行為は?
- 当然に無効(民法第3条の2)
第2章:無効とは?
■ 無効の定義
「法律行為がはじめから法的効力を有しないこと」
✅ 無効となる代表例
無効の原因 | 条文 | 具体例 |
---|---|---|
意思無能力 | 第3条の2 | 高齢者が認知症で契約締結 |
公序良俗違反 | 第90条 | 違法な目的の契約(例:賭博契約) |
成年被後見人の契約 | 第9条 | 日用品の購入以外の契約 |
✅ 特徴
- 最初から無効であるため、追認などで効力を回復できない
- 誰でもいつでも無効を主張できる
第3章:取消しとは?
■ 取消しの定義
「有効に成立した法律行為を、後に取消すことで無効にできる制度」
✅ 取消しの対象となる事由
取消原因 | 条文 | 例 |
制限行為能力者の契約 | 第5条~第21条 | 未成年者が高額品を購入 |
詐欺・強迫による契約 | 第96条 | 嘘を信じて契約した |
錯誤 | 第95条 | 勘違いして契約した(一定の要件下) |
✅ 特徴
- 一度は有効に成立している
- 取消しにより遡って無効となる
- 取消しは期間制限がある(5年/20年)
第4章:無効と取消しの比較表
項目 | 無効 | 取消し |
効力 | 最初から効力なし | 一旦有効→後から無効にできる |
追認の可否 | ×(不可) | ○(可能) |
期間制限 | なし | あり(5年/20年) |
誰が主張できる? | 誰でも可 | 原則、取消権者のみ |
第5章:試験に出る事例問題の解法ポイント
✅ 問題例1
「認知症の高齢者Aが不動産をBに売却。その後、Bが転売。」
- Aが意思能力を欠いていた → 無効 → 転売先にも効果なし
✅ 問題例2
「15歳のCが親の許可なく50万円のギターを購入」
- 未成年による契約 → 取消し可能 → 取消しなければ有効のまま
✅ 問題例3
「強迫により契約させられたDが、10年後に取消し主張」
- 5年を超えている場合 → 取消し不可(除斥期間)
第6章:まとめと本日の学習時間
- 学習時間:2時間15分
- 使用教材:
- 『うかる!行政書士 総合テキスト 2025年度版』(https://amzn.to/4kY6sEr)
- 『国家試験受験のためのよくわかる民法』(https://amzn.to/3ZYyY0F)


ゼロから始める行政書士学習録|第10回:表見代理・復代理・権限逸脱をまとめて整理!

ゼロから始める行政書士学習録【第9回】意思能力と行為能力の違いを理解しよう|行政書士試験 民法総則

ゼロから始める行政書士学習録|第7回:意思能力・行為能力・法律行為の有効性をまとめて整理!

ゼロから始める行政書士学習録|第8回:条件・期限・法律行為の分類を体系的に理解する

ゼロから始める行政書士学習録|第6回:時効って何?中断・完成猶予を事例で整理!
スポンサーリンク
ABOUT ME