著作権シリーズ⑤著作者人格権と著作隣接権とは?
著作権という言葉を聞いたことがある人は多いと思いますが、著作者人格権と著作隣接権という言葉を聞いたこと無い人は少なくないと思います。
今日はこの著作者人格権と著作隣接権について解説していきたいと思います。
著作者人格権とは
著作者人格権は、著作者が自らの作品に対して保有する、特定の法的権利を指します。これらの権利は、著作者が自らの作品をどのように使用されるかについて一定のコントロールを持つことを可能にします。以下に、著作者人格権の具体的な権利を詳しく説明します。
1. 氏名表示権
著作者人格権の一つであり、著作者が自らの名前を著作物に表示する権利です。この権利により、著作者は自身の作品に対する正確なクレジットを保持し、その作品が公になった際に誰がその作品を制作したかが明確になります。
2. 同一性保持権
同一性保持権は、著作者が自らの作品が変更されることなく保持される権利です。つまり、著作者は自らの作品が不適切に改変されたり、別の作品と混同されたりしないようにすることができます。この権利は、作品の原初の状態や意図が尊重されることを保証します。
3. 出版の権利
著作者は、自らの作品を出版する権利を持ちます。これは、作品を印刷物やデジタルメディアなどで一般の人々に公開することを含みます。著作者は、出版の権利を行使することで、自らの作品を広く普及させることができます。
4. 著作者人格権の意義
著作者人格権は、著作者の創造的な労働と知的財産を保護するために極めて重要です。これらの権利により、著作者は自らの作品に対する適切な認識と尊重を確保し、その作品が他の人々によって不当に使用されることを防ぐことができます。また、著作者人格権は、著作者が自らの作品に対する情熱と責任を保持し続けることを支援し、文化的な多様性と創造性の推進に貢献します。
著作隣接権とは
著作隣接権は、著作物の利用に関わる権利であり、著作者人格権とは異なります。実演家、レコード製作者、放送事業者、有線放送事業者などがこれに該当します。以下にそれぞれの権利と保護期間を示します。
実演家の著作隣接権
実演家の著作隣接権には以下が含まれます:
- 録音権・録画権:他者による実演の録音や録画を禁止する権利。
- 放送権・有線放送権:実演を放送または有線放送する権利。
- 送信可能化権:インターネットなどを通じた実演の送信を制御する権利。
- 譲渡権:これらの権利を他者に譲渡する権利。
- 貸与権:これらの権利を他者に貸与する権利。
レコード製作者の著作隣接権
レコード製作者の著作隣接権には以下が含まれます:
- 複製権:レコードの複製を制御する権利。
- 送信可能化権:インターネットなどを通じたレコードの送信を制御する権利。
- 譲渡権:これらの権利を他者に譲渡する権利。
- 貸与権等:これらの権利を他者に貸与する権利。
放送事業者の著作隣接権
放送事業者の著作隣接権には以下が含まれます:
- 複製権:放送の複製を制御する権利。
- 再放送権・有線放送権:放送の再放送や有線放送を制御する権利。
- 送信可能化権:インターネットなどを通じた放送の送信を制御する権利。
- テレビジョン放送の伝達権:テレビジョン放送の伝達を制御する権利。
有線放送事業者の著作隣接権
有線放送事業者の著作隣接権には以下が含まれます:
- 複製権:有線放送の複製を制御する権利。
- 放送権・再有線放送権:有線放送や再有線放送を制御する権利。
- 送信可能化権:インターネットなどを通じた有線放送の送信を制御する権利。
- 有線テレビジョン放送の伝達権:有線テレビジョン放送の伝達を制御する権利。
まとめ
著作者人格権と著作隣接権は、著作物に関する権利を保護するための重要な概念です。実演家、レコード製作者、放送事業者、有線放送事業者がそれぞれ保有する権利は、彼らの創造活動やビジネスにおいて不可欠なものです。これらの権利が適切に保護されることで、文化の創造と普及が促進され、公正な報酬が得られることが期待されます。
かなり複雑で権利が多いので混乱してしまいますが、著作権を理解するにはとても重要な部分です。WEBライターやブロガーの方はまず著作者人格権だけでも覚えておくと良いでしょう。