50歳からの転職体験記②転職準備、何から始める?50代だからこそ見直すべき“心と現実”

こんにちは。今回は、前回に続いて「スカウトメールを受け取ってから内定を得るまでの流れ」、そして「その間に行った準備や心の整理」についてお話ししていきます。転職を考えている50代の方に、少しでもヒントや共感を届けられれば嬉しいです。
なぜ“準備”が大切なのか?50代の転職は人生の選択そのもの
スカウトメールが届いた瞬間、正直なところ「まさか自分が対象になるなんて」と半信半疑でした。50歳という年齢の重みを、自分自身が一番感じていたからです。
でも同時に、心のどこかでこのまま今の職場で定年を迎える未来が、想像以上に“退屈で、息苦しい”ものであることもわかっていました。だからこそ、目の前に現れたこの機会を逃すわけにはいかない。そう思い、慎重かつ冷静に動き出すことにしました。
まずやったのは、相手企業の徹底リサーチ
一歩踏み出した私が最初に行ったのは、徹底的な情報収集です。企業の公式サイトや事業概要はもちろんのこと、転職サイトの口コミ、SNSでの社員のつぶやき、地元のコミュニティ掲示板まで、ネット上にある限りの情報を集めました。
正直、ネガティブな意見も多かったです。組織体制の混乱、人間関係の問題、リーダーシップの欠如…。でも驚いたのは、それらの問題点が、面接での会話と一致していたこと。つまり、企業側も課題を正面から受け止めており、改善の意思があるということがわかったのです。
この時、「これは自分の経験を活かせる現場かもしれない」と感じるようになりました。単なる“問題のある会社”ではなく、“変わろうとしている会社”だったからです。
妻の支えが決断に大きく影響した
転職という大きな決断には、家族の理解が欠かせません。私のケースでは、妻の存在がとても大きな後押しになりました。
共働きということもあり、経済的な不安はある程度抑えられましたが、それ以上に彼女は私の心身を心配していました。合併後のストレスにより、以前のような活力を失っていた私の様子を、ずっと見ていたのだと思います。
「最近、あなたから笑顔が減った」と言われたことが、今も心に残っています。
今回の転職について話したとき、彼女は即座に「話だけでも聞いてみたら?」と快く背中を押してくれました。息子は大学生で、学費の目処もある程度立っていたことから、「いまが動くチャンスかもしれない」と思えるようになりました。
それでも不安だった“自分のキャリアが通用するか?”
それでも、不安が消えることはありませんでした。特に大きかったのが、
「自分のこれまでのキャリアが、本当に通用するのか?」
という疑問です。
私はこれまで、大手企業で長年、管理職としてさまざまなプロジェクトや部署をまとめてきました。数字も結果も出してきた自負はあります。でも、それが異業種の中小企業で通じるのかというと、まったく未知の領域でした。
「今さら新しいことを覚えられるのか?」「“使いづらい中年”と思われないだろうか?」——そんな不安が毎晩頭をよぎりました。
一方で、今の会社にこのまま残ったとして、それは“安定”なのか? 吸収合併され、発言力を失い、役割も限定され、やりがいを感じなくなっていた現状。あと10年以上、これを繰り返す人生を選ぶのか。
このまま気力をすり減らしながら定年まで耐える未来と、不安でも新しい挑戦に踏み出す未来。
心の中では何度も何度も、天秤にかけていました。最終的に背中を押してくれたのは、「自分で自分の人生を選びたい」という気持ちでした。
2次面接後のスピード展開と決断
2次面接では、役員の方々とざっくばらんな話ができました。こちらの考えや希望にも丁寧に耳を傾けてもらえたことが印象的でした。
そして面接から数日後、内定の連絡が届きました。そのスピード感に驚きながらも、すでに自分の中では決断が固まっていたので、即座に受諾の意志を伝えました。入社日などの詳細は後日改めて調整する形となりました。
退職準備、そして職場のリアルな反応
内定を受けてすぐ、上司に退職の意向を伝えました。業務の中には、私しか対応できない属人化された仕事もありましたが、1ヶ月ほどで引き継ぎが可能なよう整理を進めました。
意外だったのは、職場の空気。私が辞めると知ったとき、どこかホッとしたような雰囲気があったのです。無理して頑張っていた私を、部内の誰もが感じ取っていたのかもしれません。おかげで、退職に後ろめたさは一切感じずに済みました。
有給もほぼすべて消化し、気持ちと体を整えて、いよいよ新しい環境へと向かう準備が整いました。
まとめ:50代の転職は“挑戦”ではなく“選び直し”
50代での転職は、無謀な挑戦でも、逃げでもありません。それはむしろ、「自分の人生をどう生きるか」を自分自身に問い直す時間だったと思います。
不安もあったけれど、それ以上に「このまま終わりたくない」という気持ちが勝りました。誰かに認めてもらうためではなく、自分が納得できる生き方を選ぶことが、何よりも大切だったのです。
次回は、「新しい職場で実際に働いてみてどうだったのか」についてお話ししていきます。どうぞお楽しみに。